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私とおカネの話

Merry X'mas❤ でもそれににつかわないおカネの話。


西原理恵子さん(以下、サイバラ)のエッセイのファンというのではないけれど、「この世でいちばん大事な「カネ」の話」は共感するところが多くてたまに読み返している。漫画家と翻訳家(社内翻訳者の話はこの際除く)は似たような部分も多いと思う(考えてみるとフリーランス全般だろうか)。






最近、年末のせいなのか?様々な同業者Blog等で収入についての記事があがった。職業とは、好きだから、人の役に立ちたいから、性格に合っているから、成り行きで、などなど人によって選ぶ要因は様々だと思う。でも、どう転んでも収入、つまり「カネ」の問題は避けては通れない。生活が成り立たないのに好きだから、夢だからといって自分の目指す道を邁進することはできない。いや、できるのだろうが、その場合は他人に依存しているか、何かをひどく犠牲にしているか、であろう。

もちろんそれを批判するものではない。ただ、迷っているとき(フリーランスの翻訳という仕事を続けるか否か)に上記のサイバラのエッセイは一つのヒントになる気がする。趣味として続けたいという場合は何の問題もない。この業界、仕事につなげるまでに勉強を延々と続けている人も結構多く(笑)、一種の趣味と考えれば頭の体操にもなるし、知識も身につくし、語学力ももちろん高まるし、悪い趣味ではないと思う。

ただ、その答えを出すには、置かれた環境等を考慮の上、自分の立ち位置だけははっきりさせておかねばならない。1.趣味/仕事の中間くらいで無理せず楽しく続けるのか、2.一家の生活費の補填となるパート仕事と割り切るのか(ところが実は単純労働のパート代にも及ばなかったりする場合が大半で、時間に縛られず家でできるのがメリット)、それとも、3.この仕事を生業として食べていくことを目指すのか。収入を上げようとするならば、つまり、最後の場合はそれ相応の覚悟が必要に思う。


私がこの本の中で共感した言葉を2つだけ紹介しておく。

「最下位」の人間に、勝ち目なんてないって思う?
でもね、「最下位」の人間には、「最下位」の戦い方ってもんがあるんだよ。


サイバラ嬢は高校を退学させられて、その後、単身上京して美大の予備校に通う。そこで絵の成績をつけられて最下位になる。でもそこで叩きのめされた後、自分の目標は「トップになること」じゃなく「この東京で絵を描いて食べていくこと」だと気づく。そのために自分の強みを探し出そうともがくのである。

私も同じで、この業界は、往々にして驚くような高学歴な人が名を連ねている。留学経験がある人も多い。そして研究者や学者から流れてくる人々も少なくない。英語力も、技術理解力も、そもそもの頭の出来が同業者の中でも平均以下である。無い無い尽くしでやっぱり無理!就職先を探し出して安定した収入を確保したいと何度も考えた。でも、やっぱり自分にももしかしたら最下位なりの別の強みがあるのではないかと思い直した(詳細は省く)。それができた理由の一つはプライドがさほどなかったからかもしれない。サイバラ嬢曰く、プライドで飯は食えませんもの。

正当な収入がもらえるように業界の意識を改革すべきである--翻訳者の地位向上を--

私もその言葉には完全に同意する。声を上げるべきどころでは声を上げるべきなのだとも思う。でもそれを言い出すと、ものを作り出している人々は皆同じで、翻訳だけが世の需給バランスから逃れられるべくもない。ファストファッションがもてはやされる中でも1桁あるいは2桁高いお金を出してブランド服を購入する人もいる。これで身を立てていくと思うならば、自分に払われる対価は自分に相応しいものだという自覚と覚悟をもって、そこから自分で脱出口を見つけなければならない。その工夫と努力は人に頼るわけにはいかない。


人の気持ちと人のカネだけはあてにするな

バブル世代をかすめた私は、女の子は奢られて当たり前~という傲慢な若い時期を過ごした。今のだんなさんにも(貧乏学生だったのに!)驚くほど奢らせたと思う。回り回って今にたどり着くため本当に得したのかどうかは不明。でも、結婚後、やっと自分の性格に気づいた。

1年強の専業主婦時代、全然仕事が見つからなくて、暇なので習い事やジム通いで毎日を過ごしており、自分の貯金は減っていくし、でもその一方では一応生活に困らない優雅な生活をしていた。だが、人のお金を使い続けるのは思ったほど楽しくないばかりか、自由を奪われていく気がした。ご存じの通り我が儘で小心者の私は他人に100%を依存するリスキーな選択を好まない。これは彼の「好意」という気持ちだけを担保とした生活、それってリスキーすぎる。かといって内助の功として家の中を常に快適に整えておくフォローの生活にも触手が動かなかった。運命の流れで育児に忙殺されることにもならなかった。それに、もし彼が失業したり病気になったりしたらと考えると不安だった。もしかすると三行半を叩きつけられる可能性もある。人の気持ちってそういうものだ。


やがて「あなた倒れても大丈夫、そのときは私が食べさせてあげる」とろくな収入もないのにそんな気力がムクムクとわいてきたのである。やっぱり私は「イチローの妻」に憧れるのではなく「イチロー」になりたいタイプだったのだ。もちろん世の中にはお金で買えないものもお金よりも大切なものもたくさんあるのだろう。でも、親や姉妹や家族が窮地に陥ったとき、そして何よりも自分が追い込まれてしまったとき、お金が解決してくれることもたくさんある。家族にちょっと美味しいご飯を食べさせてあげる、そんなことが仕事のモチベーションになる。ことお金に関していうならば、人に頼るくらいなら自分で努力して手に入れる方がずっと気分がよく、大切にしようと思える。


サイバラのエッセイの中にはこのようないろいろな示唆が含まれている。毎日かあさんってこうやってできあがってきたんだな。彼女の作品を読むと、そのバイタリティをちょっとだけ分けてもらえる気がする。



*何だか、カネ、カネと連呼したようでちょっと恥ずかしいのだけれど、ケチにはなりたくないので使うときにはパッと使うというスタンスは崩さないでいたい。人がお金を出し合うとき、基本的には自分が少しでも多めに出すように心がけている(これはサイバラ嬢もこの本で書いていた)。ただお金がないときは無理をしない。見栄を張らず等身大の生活をする(したいと思う)。人間関係の上で少しでも「得をしたい」と計算する心根は、気づかないうちに自分の顔や人間性に表れてきそうで怖いのである(笑)。


いつもながらの長文大変失礼いたしました。






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「十二月吉例顔見世興行」-美しいものだけを

年の瀬の京都の風物詩「吉例顔見世興行」が今年も南座で開幕した。今回の興行は二代目市川猿翁(73)、四代目市川猿之助(38)、九代目市川中車(47)の襲名披露も兼ねている。

猿之助さんのマネージャーさんにお頼みしたということで良席がなぜか私のところに回ってきて、最近どうも散財しすぎているな・・・と反省モードも何のその観劇のお仲間に混ぜてもらえた。TVのニュースで何度か顔見せの様子が流れているのを見て、本当はムズムズしていたのである。


顔見せ201312(2)



というのも口上が好きなことと、歌舞伎問わず「忠臣蔵」が大好物だからである。ご祝儀かな?第一幕は中車さん(香川照之)が重要な役柄で出演した。残念ながら付け焼き刃感は否めない。歌舞伎というよりも半沢直樹の一幕という感じがする。長い年月をかけて芸の基本をたたき込むことのなんと難しいことか。


第一 元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)

第三 猿翁十種の内 黒塚(くろづか)


第四 道行雪故郷(みちゆきゆきのふるさと)

第五 児雷也(じらいや)



顔見せ201312(3)
(猿之助がファンだという福山雅治のデザインした祝幕)

「隅から隅までず、ず、ずい~~っと」

猿翁さんが椅子に座ったままで黒子さんに支えられて登場した。すっかり面変わりしている。口上はもう声も出ず猿之助さんが代読する。しかし、その間も身振り手振りをつけ鬼気迫る雰囲気すらあった。舞台にかける執念に感動した。

40半ばにして歌舞伎の道に踏み込んだ香川氏とも相まって、いろいろな思いが浮かぶ。


「澤瀉屋!!」

万雷の拍手。


顔見せ201312
(幕間のお弁当も楽しみの一つ)


ご一緒したK嬢はほぼ同級生。彼女がこう言った。


「これからは美しいもの、素敵なものだけに触れていたい」。


彼女は私よりもずっと大きな商売を手がけているため、当然ながら仕事上では苦しいことや辛いことを随分経験しているだろう。でも、時間がそんなに残されていないから、プライベートな場では素敵な人とだけお付き合いをしたい、という言葉の意味はとても良く分かる(え、これからも友達にしてもらえるの?という不安がよぎる(汗))。


いずれにせよ、美しいものに触れるとやっぱり心がときめく。絢爛な舞台、磨き上げられた芸、目にも華やかな食事、歴史ある古都の街並み。


やっぱりこのために今日も仕事するのである。





プロフィール

mskyoko

Author:mskyoko
夫と私とトイプードルのノワールとのミニマムな家族。

アラフィフ夫婦の生活もワンコがやってきて大きく変化しました。

想像したよりも50代の生活はずっと楽しいかも。

ワンコを連れて旅行三昧のセカンドライフははたして実現するかしら?

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