グリーフケア-孤独な社会で

ミタは小康状態を保っている。相変わらず餌はほんのちょっぴりしか口にしないが、おそろしくよく眠ることを除いては、もちろん痩せてはいるものの普段のミタと変わらないようにも見える。甘えたでお布団の中にも潜り込んでくるし、私の後をよたよたついてくる。「ミータ」と呼ぶと、律儀にいつも「はにゃい」と返事をする(他の言葉では返事をしないので自分の名前だと認識しているのだ)。

そのせいで私も落ち着きを取り戻した。たぶん今の状態はものすごく不安定なシーソーに乗っているようなもので、ほんの少しでも負荷が加わったら大きな勢いとともに落下するのかもしれない。

死別の悲しみには「予期悲嘆(anticipatory grief)」と「死別後の悲嘆」というものがあるらしい。予期悲嘆とは、自分の愛する人がまもなくを迎えることを知り、その死を予期して悲しむことである。たとえば、癌で余命宣告を受けたようなときだ。人は死別の悲しみを先取りするのだが、一方では実際に死に対面するときの心の準備が少しずつできてくる。この予期悲嘆は死が近づくにつれ強くなり、愛するものの死とともに終わり、それと同時に、今度は死別後の悲嘆が始まる。

その予期悲嘆の段階なしに誰かを失った人の衝撃たるやいかばかりであろう。腎臓病は静かにじわじわと身体を蝕んでいく不治の病である。そこが怖いとも言えるが、あえて言うと、神様は心の準備をする時間を私に与えてくださった。その期間がどのくらいかは分からないけれど。

十分な予期悲嘆ができた家族は患者の死後、立ち直りが早いと言われている。死後に残るのは家族で、死別したときに後悔の思いが大きいかどうかは、患者の生前に彼に対して家族がどれだけ関われたかがとても重要になる。「納得のできる死」はどこにもなかろうが、患者の気持ちを十分に尊重しつつ、できうる限りの世話をしたと思えるような死に方がそれに当たるのかもしれない。

ペットだけではない、これからもいろんな人々の最期を経験するだろう。それに際して、落ち込み泣いてばかりではお互いにどうしようもない。笑って、でも深く深く悲しんで、それが自分にとっては立ち直りの一助にもなろうし、去っていくものへの想いの深さを表すことにもなろう。

核家族化や地縁の希薄化で人々が孤立し、人の死が「非日常」になった現代社会では、かえって愛する家族や大切な人との別れで心を病む人が増えているらしい。グリーフ(悲嘆)ワークとそれを支えるグリーフケアの重要さは今後ますます高まるであろう。現状で言えば、たかがペットのことと馬鹿にされそうな、埒もない私の心情の吐露を真摯に受け止めてくれる友人知人、そして箱のむこうの皆様に心から感謝したい。

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>たかがペットのことと馬鹿にされそうな、埒もない私の心情の吐露を真摯に受け止めてくれる友人知人、そして箱のむこうの皆様に心から感謝したい。


いいえ、ペットは家族です。大切な大切な家族です。

一行一行、かみ締めるような感じで拝読しました。

ミタちゃんはkyokoさんご夫妻のところにやってきて本当に幸せなネコちゃんだと思います。

初めてコメントいたします。
今まで度々おじゃまして、感じるところ(特に芸能人へのツッコミ方)が似た方だなあ、と勝手に親近感を持っておりました(翻訳者としての技能には天と地ほどの差があるに違いありませんが)。
このたびの猫ちゃんのことにつきましては、ますますシンパシーを感じずにはいられません。私も犬やセキセイインコを見送ってきました。ペットというのはある意味家族以上に深い情で繋がっている存在かもしれません。もう長くないな、と感じてから死んでしまうまで。そしてそれから彼等がいない日常に慣れるまで。空耳で足音が聞こえたり、餌を見ただけでワッと泣けたり。でも、死んでしまっても変わらず愛おしい存在です。
弱っている子を見ているのは辛いことだとお察ししますが、頑張ってくださいね。箱のこちらより祈っています。
不躾なメールで失礼しました。

我が家にも以前、体調が急変して亡くなったハリネズミがいたのですが、そのときは突然のことだったのでショックでしたね……。命の重みに順位はつけられません。動物は家族であり友人です。

きょうかさんの心優しいコメントにどんなにか救われたことでしょう。

我が家に来てくれたことを感謝してくれていればいいんですけどね。

今日はネイルに行ってきました♪また後日アップしますね。

ハリネズミとは!とら猫さま、さすがに守備範囲が広いですねぇ。

家族、友人、同志・・・何でしょうね、何役をもこなす存在です、ペットって。私にとってはカウンセラーでしょうか。

やす子さま初めまして。

リアルな生活の中では「ミタが、ミタが、」と周りの人にそうそうこぼすわけにはいきません(もちろん友人は私の心情を汲んで慰めてくれますが)、人の優しさに甘えてばかりもいられません。その中で愚痴の吐き場所=本ブログとなってしまっています。そこで、やすこさんのように共感をコメントしていただくことは何よりも嬉しい、ブロガー冥利に尽きることです。

箱のむこうで静かにそのように思っていて下さる(と勝手に私が思っている)人々の存在をあらためて感じました。ありがとうございます。

芸能ネタでも共感とのこと。SMAP某メンバー事件についても書いてみたいですわ、ふふ(笑)。

カニカマが美味しかったかぁ!よしよし!
すきなもん食べさせてあげたいよね!

生も死も必ず一度は通らないといけない道でみんな初めてのことなんだけど。でも周りの家族とかを送るのは自分の死を感じる不安とはまた種類が違って、離れていくもしくは二度と会えなくなる寂しさに尽きるのでしょうか。

一時、一時が大事です。
いっぱい美味しい物食べさせて、いっぱいお話してやって下さい!

ミタちゃん、がんばってますね。
体調急変の日記を読んだときは驚きました。
ご近所ですが、箱の向こうから応援しています。

ところで、↓のロイヒの存在をこちらで初めて知りました。
早速購入してみました。使うのが楽しみです。
それにしても、インパクトのあるパッケージですね。

カニカマも既に飽きたようです(涙)。

暗いネタでごめんね~。
でも毎日一緒にごろごろとお話をしていて友情は深まったかも。
rereちゃんにも会っていただきたかったわ。

そろそろ翻訳者春の会を開きたいと思っていたのに、何だかんだでバタバタしてます。
でもランチなら出かけられると思うのでまた計画しましょう!

ロイヒ買いましたか。今日も肩に貼ってます。我が家の定番になりそうな予感。
プロフィール

mskyoko

Author:mskyoko
夫と私とトイプードルのノワールとのミニマムな家族。

アラフィフ夫婦の生活もワンコがやってきて大きく変化しました。

想像したよりも50代の生活はずっと楽しいかも。

ワンコを連れて旅行三昧のセカンドライフははたして実現するかしら?

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